【森の夜】

森で
遇っているのだろう

腕を組んで
遠い日の喪失を懐かしく秘め
初めての名を告げる
花を摘む一瞬に
ふたたび
はぐれてゆく

ゆきくれた道には
いつも
だれかの落としたパンがひかり

あがなうことのできない盗人のように
声もあげず
飢えを満たした

森で
遇っているのだろう

この目で
みたことがなく
この手で
触れたことがない

それがだれかも知らず

傷む森の奥で
脈打つ命

――――――歌劇【ハルシュタット】より


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コメント

“【森の夜】” への2件のフィードバック

  1. 沙一
    沙一

    思わず溜息が出そうなほど美しい森の写真ですね。このように画像投稿していただくと、言葉が中心なこの場にも華が生まれますね。
    引用と思しき本文も、写真と合っています。

  2. 薔薇*
    薔薇*

    沙一さま

    コメントありがとうございます。
    システム全般、
    管理人様のセンスとお心遣いに投稿意欲が増しますね。

      ♢  ♢  ♢

    詩は引用でなくすべて自作のものです。
    【弦】の中の1行のみ(コメントを付しましたように)
    お気に入りの詩集からお借りしました。
    どの箇所かを明示しようとしましたが、
    読者の想像に委ねると言うことが許されるかな
    と思いなおしました。
    著者には了解をいただいております。

    写真は無料画像からお借りしました。
    自分の写真が多数あるのですが、引っ越し時の混乱から
    未だ立ち直っておらず取り出せません。
    今後は写真もすべて自分の撮ったものを使うつもり。

    音楽は付いているものといないものがあります。
    鼻歌程度ですが・・。

    【ハルシュタット】と言う名のオペラ全曲にするつもりです。
    場所は外国、ストーリーは日本の時代劇、
    登場人物はその中間のような感じ?

    なおハルシュタットは祈りと自己暗示をかけている地です。
    《どうか来世はあの窓の一つから
    黎明と夕暮れを迎える一生でありますように》

    皆様の投稿がないので連続投稿になってしまい申し訳ないです。

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