誰も喋らない
行列は進む
皆前だけを見つめ
道から外れたところで見守る私を
手招きしてくれる人もいない
途切れない行進
西の国境を目指している
私のうしろに広がる家々のどこかで
かなしげな犬の遠吠えだけが聞こえる
生きているものは哭く
しあわせになれないから
でも誰かに踏まれた雑草だって
生きるためにもがいてる
沈みかけている太陽は
彼らのたどり着く場所の目印
そこには彼らが安らかに眠れる
しとねがある
しあわせがある
私は行列から背を向けた
まともな寝床を探すために
生きている限り
しあわせになれないのに
しあわせを探すのが
生きているためだから
やさしい寝床を探す旅だから
喪われた面影を振りきって
やみくもに叫びながら走った
コメントを残す
コメントを投稿するにはログインしてください。