映像詩「落日」

前回に続き、動画クリエイターの橋本美千夫さん、詩人・画家の印あかりさんとの共同ユニットで、拙詩集『ソナタ/ソナチネ』所収の一篇「落日」を《映像詩》として制作しました。使用音楽はラフマニノフの「ヴォカリーズ」。橋本さんのアイデアであえて作曲家ラフマニノフ自らが指揮した非常に古い録音を選んだのですが、これがテキストと映像に驚くほどマッチしていて、原作者である私自身が感嘆させられました。印さんのリーディングも没入の深さと強さが尋常ではなく、まさに入神の朗読。30年以上前に書いた古い作品にフレッシュな生命を吹き込んでくれたお二方に心より感謝します。

コメント

“映像詩「落日」” への2件のフィードバック

  1. 蛾兆ボルカ
    蛾兆ボルカ

    切ない喪失感や離別をそのままではなく、死滅しては行くけど、無かったことにはならない、「希望」というものの存在の仕方を描く言葉によって、端正に詩にとどめたテキスト。
    映像は風と暮らしと空を描き、テキスト、音声の響き、音楽と相まって、それら全体で、例えば悲しみ/哀しみという言葉を超えた思考と感情を伝えてくるように思いました。

    状況は詳しく語られていませんが、落ち行く夕日のような在り方は、人と人が何かを希求して共に生きようとするとき、例えば結婚する時、その始まりの瞬間から終わりまでずっと覚悟されている在り方だと思います。
    人が生まれて、死ぬまでの道行きもそうなのでは、とも思いました。

    そうしたことは感情を揺さぶる事柄ですけれども、しっかりと見つめてしまえば、落ち着いた気持ちも齎すことだなぁ、と感じました。

    夕日が美しいってのは、生きているひとにとって恩恵ですね。それは当たり前のことだけど、ありがたいことでもあるなぁと、改めて思います。

  2. 石村
    石村

    ボルカさん、美しい批評文を頂戴し有難うございました。光栄の至りです。
    「悲しみ/哀しみという言葉を超えた思考と感情」というのは小生が詩を書く時に常にその作品の中で実現したいと意識しているものです。それをこのような簡にして要を得た精確な言葉で言い当てて下さったことにも感謝致します。

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