シナプスが、
コンプレックスに、
脈打つ朝は、
遠巻きに見てたあの子を、
台無しにしたくなる。

海が近い街で、
海を見ずに過ごす日々。
人ばかり見ている一人。
ぼくを見る人はいない。

澱んだ川には、
鴎が群がり、
ぼくの影を一層際立たせる。

石ころを転がした先に、
些細な仲違いや蟠りの、
あたたかい色はない。

イロニーと虚無、
重ね着と前借り、
青空と静脈、
虎落笛と耳あて
すけて、
みえて、
すけて、
みせて、

きれいな放物線を描いて、
あの子は彼方へ飛んでいった。
付け焼き刃の
ぼくは少し、
鼻がむずがゆくなった。

コメント

“冬の一滴” への5件のフィードバック

  1. /e
    薔薇*

    まちかさん、こんにちは。

    フレッシュな作品をいつも楽しく読ませていただきながらコメントをしていませんでした。

    「石ころを転がした先に、
    些細な仲違いや蟠りの、
    あたたかい色はない。」

    詩というある意味自分の子を人質にしている場では
    温かい声かけが「傷をなめ合う行為」として
    ひんしゅくされたり叱られたりした経験をネット投稿を長くしている人ほど
    持っているのではと思います。

    皆一度は若く、ニューフェイスだったので
    投稿後何の反応もないことがつらいものだと言うこともたぶん経験しています。

    それでもそのつらさに耐えることも創作者にとって
    悪いことではないと言うことも。

    私の場合は特に、
    詩そのものが傷口だと思っていますので
    誰かが手を差し伸べないと傷口から血がだらだら流れる状態が
    ずっと続くと感じます。

    それでも傷はいつか癒え
    癒えたときには傷口から取り込まれた経験が新たな生命力となっている。
    傷は長い快復期にこそそこから取り込む豊かな滋養があると思います。

    以上はこの間コメントをしなかったことのいいわけです。
    ちょっと私事にとらわれていただけなのですが。

    それでも

    「石ころを転がした先に、
    些細な仲違いや蟠りの、
    あたたかい色はない。」

    まちかさんがこう書かれたことに共感します。

    この場所はやや冷たい場所になっていると思います。

    私は自己紹介にも書いていますが
    ネットというのは
    ミヒャエル・エンデ『はてしない物語』のファンタージェンであり
    リアルの生活もファンタージェンもどちらも生き生きと
    影響を与え合ってこそ豊かになっていくと。

    だから創作ネットは傷のなめ合いでいいじゃないの、と思うのです。
    そうして書いていくうちにいずれどうしても書かねばならない
    他の人に関わりなくまるでそのために書くという手段を続けてきたかのように
    書かねばならないことを人生は突きつけてくると思うのです。

    それまではわいわいやりながら技量を磨いていけばいい。
    今の若い方は初めから技量があるのですが
    それでも+1ミリを目指して楽しく書いていって欲しいです。
    いつかファンタージェンとリアルが激しく切り結んで
    爆発!するw

    詩を知らない批評を知らない私ではありますが
    皆さんの作品個々の感想をがんばって書いていきますので
    お待ち下さいね。

  2. /e
    薔薇*

    まちかさんへ

    追記します。

    日常の中で作者がここに詩があると直感したことを
    素直にキャッチして書かれていて
    読み手はそれを楽しく受け取ります。

    ただ私の個人的傾向か
    詩のなかに豊かな時間があることを求めます。
    (ネット詩や現代詩が苦手なゆえんだと思います。)
    そのせいか
    まちかさんの投稿作全般
    少し速書きになっていると感じました。

    自身の信じる【詩】の前に現れる一語一語に
    どこまで丁寧に向き合えるかが大切ではないか、
    それによって疾走感が失われることはないのではと思いました。

  3. 沙一
    沙一

    なんとなくですけど、各連は磨き上げればそれぞれ短歌に成り得る気がしました。しかし、これはこれで剥き出しの抒情があっていいと思います。具材がごろごろしているカレーみたいな。

  4. それいけ!まちか2世
    それいけ!まちか2世

    薔薇さん、こんにちは。
    コメントありがとうございます。
    詩そのものが傷口
    確かにそうかもしれません。
    書かなければと急き立てられるような詩への衝動を体験してみたいです。まだまだ何となくで書いているものですから。
    語と語の関係や、ひとつの言葉をいくつかの視点で見れるようにこれからなっていきたいです。

    ありがとうございました。

    だからこそ、早書きになってしまうのかもしれません。

  5. それいけ!まちか2世
    それいけ!まちか2世

    沙一さん、こんにちは。
    ああ、確かに短歌に向いてる素材がゴロゴロある気がします。作ってみます。

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